質屋を利用してお金を借りる方法

質屋は担保とする品物の価値に応じたお金を貸してくれるお店です。
でも、質屋に預けた品物はどうなるのか、借入までの流れや、返済方法、利息はどうなっているのか、即日融資は可能なのかなどなど、わからないことも多くないですか?
それから、お金を借りる代表的な方法にはカードローンもありますが、どちらが便利なのでしょうか。
この記事では質屋の仕組みや金利、お金を借りる方法、上手な活用方法などを詳しく解説しています。
現代社会だからこそ質屋に着目したいポイントもありますので、ぜひご覧ください。

質屋の基礎知識
質屋は、担保となる品物を預けると、その担保に見合ったお金を貸してくれるお店です。
この担保を質屋に預けることを「質入れ」、担保となる品物のことを「質草/質種」と言います。どちらも読み方は「しちぐさ」になります。
期限までに借りたお金と利息を返済すれば質草は返却されますが、もし完済できなかったら質草は返却されず、売却されてしまいます。
この質草が売却されることを「質流れ」と言います。
質流れになると品物を返してもらうことはできなくなるのですが、借金の返済義務もなくなります。ここが質屋の特徴で、言い換えると質屋から借りるお金には返済義務が無いということになるんです。
お金を返すことができなくても質草がなくなってしまうだけで、取り立てに追われることがないところは質屋ならではの安心ポイントです。
どんなものが担保(質草)になるの?
これは質入れをするお店によっても大きく異なりますので一般的な例になりますが、基本的には今現在リサイクルショップやネットで売れているものは、質屋にとっても需要があるということになります。
お金になりやすいのはブランドのバッグ、腕時計、アクセサリーなどで、ハイブランドであればあるほど質屋では高値がつきます。
ブランド物であればお財布、キーケース、カードケースなどの小物も値段がつきやすいでし、服・靴なども質入れできます。
宝石や貴金属も高額査定が期待でき、iPhone、iPad、MacなどのApple製品も人気が高いです。それから、一眼レフやカメラレンズ、Nintendo Switch、楽器なども質草になります。
家電はやや微妙で、新品時の価格は高価だったとしても新商品がどんどん発売されるようなものは、買い取りそのものを質屋に断られてしまうことがあります。
いずれの場合も、使用歴が短く状態が良い方が質屋ではお金になりやすいです。
借りたお金はいつまでに質屋に返せばいいの?
質草を返却してもらうには、質流れしてしまう前に借りたお金を完済する必要があります。いつ質流れしてしまうのかは質屋によっても異なるのですが、目安となるのが3か月です。
なぜかというと、質屋営業法第17条2項によって3か月未満で質流れさせてはいけないと定められているから。
前項第三号の流質期限は、質契約成立の日から三月未満(質置主が物品を取り扱う営業者であり、かつ、その質に入れようとする物品がその取り扱つている物品である場合においては、一月未満)の期間で定めてはならない。
3か月以内に質屋へ完済できなくても一部でも返済できたら返済期限そのものを伸ばすことも可能です。
「質入れ(お金を借りる)」と「買い取り(売却)」どっちがお得?
質屋では質入れの他に買い取りも行っています。
質屋に質入れをしたことはないけど、チケットを割引価格で購入したりビール券を買い取ってもらったことがあるという人も多いと思います。
質入れと買い取りでは査定額が異なり、買い取りよりも質入れの方が査定額が下がります。
たとえば質屋大手の大黒屋さんでは、買取価格から2割程度差し引いた額が質入れの査定価格になるとしています。
買い取り査定価格が10万円のものを質入れすると、8万円貸してもらえるという感じですね。
品物が返却されなくても良い場合は買い取りを希望した方が高額査定を望めますが、どうしても品物を返却して欲しい場合は、査定価格が少々下がっても質入れの方が良いということになります。
質草に応じて買い取りと質入れをその都度選ぶことができるのも質屋の便利なところと言えそうです。
質屋でお金借りるメリット
質屋は消費者金融や銀行カードローンとはちょっと違ったお金の借り方になりますが、どのようなメリットがあるのでしょうか?
なんといっても質屋は返済が不要!
消費者金融からお金を借りても、親・兄弟・友達から借りたとしても、返さなくて良いなんてことはまずありませんよね。
でも、質屋なら借りたお金を返さなくて良いんです。お金を借りたのに返さなくて良いって実はすごいことなんですよ!
質入れをして借りたお金を返済できなかったら、担保として預けている質草は売却されることになります。そのため返済されなくても質屋は売却価格から儲けを出せるので困ることはないんです。
もちろん、質流れしたとしても取り立てされることは一切ありません。
上の項で、買い取りよりも質入れの方が査定額が下がることを解説しましたが、これは質流れした品を売却したときに「貸したお金 < 売れたお金」となるように設定されているんです。
返済できない場合は品物はなくなってしまいますが、お金を返す必要もないため、取り立て、催促、督促が一切ないのは質屋の素晴らしいところです。
質屋からお金を借りても信用情報に載らない
信用情報機関は、消費者金融や銀行カードローンの利用・返済状況、クレジットカードの利用状況などを記録しているところで、日本に3社あります。
信用情報には消費者金融に申し込みをした記録も一定期間残りますし、延滞の記録も残ります。
借金をどうしても返済できずに自己破産をした・・・なんてことになると5年~10年も、その記録が残ってしまうことになります。
信用情報機関に金融事故情報が載ってしまうことを「ブラック」とか「ブラックリストに載る」と呼んでいるのですが、ブラック状態になると何が困るのかというと、新たな借り入れが制限されてしまうんです。
貸したお金を返さない人には誰もお金を貸したくないですよね。
金融機関も考え方は同じで、ブラックリスト入りしている人にはお金を貸してくれません。
若い時に軽い気持ちで借りたお金を返済できなかったせいで、ブラックリストに載ってしまった人が、結婚して子供ができていよいよマイホームを建てるぞ!というときに住宅ローンを組めないことだってあるんです。
お金を借りると後々にまで響いてしまうということを肝に銘じておかなければいけません。
一方、質屋からの借り入れは信用情報機関に記録されることはありません。質屋なら借りたことすら載らないので、返済できなかったとしてもブラックリスト入りすることも絶対にありません。
質屋は質草を担保にお金を貸してくれるところなので、個人の信用情報は必要ないんです。
クレジットカードの普及率が上がっている今の世の中では、信用情報がこれまで以上に重要になっているので、信用情報に載らない借り入れができるという点は安全にお金を借りたい人にとってメリットが大きいと言えます。
ブラックリストに載っていても質屋なら借り入れ可能
質草という担保に対してお金を貸してくれる質屋では、査定をするときに信用情報機関に照会をかけることはありません。
なので、今まさに複数の消費者金融の返済に追われている真っ最中・・・という多重債務状態だとしても質屋ならお金を借りることができます。
確実にブラックリストに載っていたとしても質屋なら借り入れ可能なのです。
質屋は即日融資が可能
質屋の査定はとてもスピーディで即日融資が可能、早ければ質草を持ち込んでから30分程度でお金を借りることができます。今日中にお金が欲しいという場合にも便利ですね。
質屋でお金借りるデメリット
メリットばかりに思える質屋ですが、実は質屋にも大きなデメリットがあるんです。
そもそも質草がないとお金を借りられない
質屋は品物に対してお金を貸してくれるお店ですので、質草がないとお金を借りることができません。
質草もなんでも良いというわけではなく、高額査定が期待できる価値が高いものが良いですよね。でも、身の回りにそういうものってありますか?
もし無い場合は、質屋からお金を借りることはできないので、別の方法を検討するしかありません。
家族の持ち物や家に代々伝わる骨董品などを勝手に質屋に持ち込むのは絶対にダメですよ!
来店しないとお金を借りられない
質屋は来店での買い取りを基本としているので、お金を借りるためには質草を持ってお店に行く必要があります。
腕時計ひとつ持って行くくらいなら難しいことはないですが、たくさんの物を質屋に持って行くのは大変かもしれません。
また、質屋の場所が電車じゃないと行けない距離などの場合、別途交通費がかかることになります。
質屋最大のデメリット 金利が高い
質屋を利用するなら、金利は絶対に知っておいてくださいね。
質屋の金利は消費者金融よりも高いんです。
一般的に、質屋は「月利」の金利を採用しています。
月利とは1か月ごとに〇%の利息が発生するという考え方の金利のこと。
例)10万円を月利5%で3か月借りた場合の利息
10万円に対して1か月ごとに5%の利息が発生するので、3か月目の利息は15,000円になります
今すぐ10万円を手に入れることができますが、3か月後にまとめて返済するなら115,000円が必要になるということですね。
この例を年利に換算すると60%にもなります。
金利が高いと言われている消費者金融でも年18%を上限としているところが多いので、質屋はとっても高金利と言えます。
ちなみに消費者金融は年利を採用していて、年18%で10万円を3か月間借りた場合の利息は4,438円です。
質屋の上限金利は9% 年利にすると109.5%!
質屋に預け入れができる期間は最短で3か月と短く、返済も短期間で行われることを想定しているため、月利が9%まで認められています。
月利9%を年利にするとなんと109.5%!!
また、カードローンの場合、利息は日割りでついていくのですが、質屋の場合は1か月ごとに利息がつきます。
10月10日に質屋に預けた品物であれば、11月10日まではいつ返済したとしても1か月分の利息が発生することになるんです。
★10月10日に質入れして、9%で10万円を借りた場合の利息
借り入れ期間 | 利息 | 利息を含む返済総額 |
11/10(1か月目) | 9,000円 | 109,000円 |
12/10(2か月目) | 18,000円 | 118,000円 |
1/10(3か月目) | 27,000円 | 127,000円 |
この例の場合は、10月10日~11月10日だったら、いつ返済しても利息が9,000円かかるということになります。高いですよね・・・。
なお、質屋大手の「大黒屋」では店舗によって新規利用者が1か月間無利息になるサービスを行っています。
こういったサービスが利用できると利息の節約になりますね。
「満月計算」と「歴月計算」
月利には「満月計算」と「歴月計算」という2つの考え方があります。
●満月計算
質入れをした日の翌月の同日をもって、ひと月とする計算方法です。
例)10月10日に質入れをしたら11月10日で1か月になり、11月11日から2か月目がスタート。
●歴月計算
質入れをした日の末日が1か月目となる計算方法です。
例)10月10日に質入れをしたら、10月31日で1か月目が終わります。11月1日から2か月目がスタート。
質屋は利息を日割りで計算しないので、利用する質屋さんが歴月計算の場合、なるべく月初めに質入れをした方が返済しやすくなります。
質屋の利用方法
質屋の利用方法はとても簡単です。
持ち物はたったの2つだけ。
・本人確認書類
本人確認書類は、運転免許証や健康保険証など。本人確認書類の提出は盗品の売買などを避けるために古物営業法という法律で決まっているものです。
ですので、逆に本人確認書類不要でお金を貸してくれるような質屋は怪しいということになりますね。
質屋に行くと、混雑していなかったらすぐに質草の査定が始まります。
査定は質屋のスタッフさんが行ってくれるので、あなた自身は特にやることはなく待つだけとなります。
査定が完了したら、質屋から査定価格の報告があります。
このときに納得できる金額でなければ質入れする必要はなく、そのまま持ち帰ることもできますし、他の質屋をハシゴすることもできます。
また、質入れ価格と買い取り価格の両方を教えてもらうこともできるので、質入れのつもりで持っていったけど、買い取りをお願いするといったことも可能です。
納得する価格だったら質屋との契約になります。
契約も質屋から提示される必要書類に氏名などを記入するだけで終わります。
あとは、質契約の内容を聞いて、質入れをしている証明になる質札とお金をもらうだけです。
質屋を上手に使いこなすには?
返さなくても良いお金を借りられるところは質屋の大きなメリットですが、金利はカードローンの約5倍になるのでかなり高いです。
ブラック状態でどこからもお金を借りられないような状況なら質屋のシステムがありがたいですが、カードローンの方が確実に金利は低いですよ。
カードローンの利用が可能なら?
カードローンでお金を借りられるようなら、おすすめは質屋よりもカードローンです。
消費者金融は金利が高いと言われているのですが、それでも年利にすると100%を超えてしまう質屋と比べると低金利です。
消費者金融なら即日融資も可能ですし、ネットだけで申し込みから契約までできるweb完結もあるので、家にいながらにして契約することができます。
振込・返済もネットでできるので、来店が必要になる質屋よりもかなり手軽です。
カードローンでお金を借りることができないなら?
ブラックリスト入りしていても質屋ならお金を借りることができます。でも、預け入れとなると3か月以内に高い利息も返済しないといけません。
そこで、カードローンが利用できないなら質屋に買い取りをお願いしましょう。
買い取りならリサイクルショップに不用品を売る感覚で利用できて、質入れより査定価格も上がります。
なによりも高い利息を払う必要がないというメリットがあります。
もちろん、思い入れのある品物や大切なものを預けて一時的なお金を作るのも質屋の活用方法なので、自分にとって価値の高いものを利息を払ってでも絶対に手放したくないときは質入れ、そうでもないなら買い取りをおすすめします。
質入れからの買い取りも可能
大黒屋さんの場合は「質入れの途中から買い取りに変更する」という方法も可能です。
質入れ途中から買い取りに変更すると、買い取り金額から元金とその時までの利息を差し引いた金額が支払われることになります。
例)30万円を月利9%で借りて1か月以内に買い取りに変更した場合
1か月あたりの利息は27,000円になるので、この時点で返済が必要な金額は327,000円です。
買い取り価格が36万円だったとすると、
360,000円 - 327,000円 = 33,000円
33,000円が支払われて、品物は質流れすることになります。
利息が引かれる分だけ損をすることになるので、やはり最初から買い取りにした方が金額的にはメリットがありますが、預け入れの途中からでも変更できるという柔軟な対応は、日本に根付いている質屋ならではのサービスです。
返済ができなさそうなときは買い取りに変更した方が手元にお金が残ることになりますね。
預け入れから買い取りに変更する際は、利息は1か月ごとに変わること、満月計算と歴月計算があることを頭に入れておて、タイミングをよく見極めて下さい。
